医学部医学科 地域枠について

沖縄の勤務医です。

 

みなさんは琉球大学医学科に「地域枠」という入試制度があるのをご存知でしょうか。

正式名称は推薦入試Ⅱ(地域枠)です。

 

今回は受験生の親、そして医師としての目線でその地域枠について調べてみました。

 

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 色々調べた結果、僕の感想は「安易に地域枠を選択するのは危険」です。

 

主にネットの情報と募集要項から個人の考えを述べていますので、判断は自己責任でお願いします。

 

 

 地域枠とは

将来の医師数確保の目的で創設された制度。

県内高校出身者を対象に各高校から推薦された学生(各高校3人まで、1浪まで可)が受験資格を得ることができます。

試験内容は①センター試験、②小論文、面接となっています。

県外出身の学生と競う必要がない為、一般入試より難易度が低く、また授業料免除などがあり県出身の学生には一見魅力的な制度です。

 

 

メリット

  • 一般入試と比較して合格難易度が低い
  • 授業料・生活費が貸与される(へき地で決まった期間働くと返還免除)

 

デメリット

  • 最低7年間は僻地で働く必要がある(働かないと授業料、奨学金全額返還)
  • 琉球大学での初期研修が必須である
  • 希望の診療科を選択できない可能性(?)

 

沖縄の勤務医が考える問題点 

希望の診療科を選択できない可能性

地域枠合格者には毎年約100万円が沖縄県から自治体奨学金として貸与され、一定の条件をクリアすると返済が免除されます。

その条件とは「初期研修終了後に沖縄県知事が指定する医療機関に7年間勤務すること」。

この「県知事が指定する医療機関」とは明確に書かれていませんが、離島や本島北部地域の病院と推測されます。

 

この条件を見て僕が考えたことは、地域枠の学生が医者になった際に「希望の診療科を選択できない可能性」についてです。

 

例えば、内科や外科、産婦人科は離島や北部地域では慢性的な人手不足となっておりこれらの診療科になりたいといえば、沖縄県側も大歓迎でしょう。

 

しかし、もし地域枠の学生が将来眼科や皮膚科、耳鼻科などを希望した場合、それらの診療科は内科や外科に比べると離島での需要は限られる(開業医だけで十分と判断される)ので、県側も難色を示すかもしれません。

 

医学部に入学後、希望の診療科が変わることは良くあることです。医者になって同級生を見渡してみると、医学部入学時に外科になりたいと宣言していた人が精神科になったり、逆もあったり、病院実習をして診療科のイメージが変わることも多い。

 

地域枠を希望される方は、この可能性を考えておく必要があります。

 

例えば、地域枠の学生がどうしても美容外科になりたいと思ったとします。自費診療が主となる点や地域医療への貢献の面から考えると県側に了承される可能性はほぼ0です。

このような場合、次のような選択肢が考えられます。

 

①離島や北部地域で内科や外科として7年間働いた後に美容外科に進む。

②僻地での勤務は行わず、奨学金を全額返還して美容外科に進む。

 

①の場合は義務を果たしているので何も問題はありませんが、医師として10年目くらいで新たな分野に挑戦するにはかなりのパワーが必要です。

②の場合も一見問題ないように見えますが、実はかなりグレーだと思います。というのも、地域枠の入試は一般入試と比較して難易度が低いため、お金を払えば一般入試で入学した学生と同じように進路選択ができることになってしまうと、「医師免許をお金で買っている、裏口入学と変わらない」と批判されてもおかしくありません。

 

募集要項には詳しく書かれていませんので、あくまで僕の予想です。

しかし色々考えると、「奨学金よって鎖に繋がれた、不自由な状態」をイメージしてしまいます。

 

琉球大学での初期研修が必須である

 診療科の件を抜きにしても、これが地域枠最大のデメリットです。

現在の初期臨床研修制度の最も優れているところは、「研修病院を自分で選べるところ」です。

全国には約1000もの研修病院があり、それぞれで特色があります。琉球大学医学部附属病院の研修プログラムが悪いとは言いませんが、同級生が制限なく全国の研修病院から自分に合った病院を選べるのに対して、地域枠の学生には選択肢が一つしかないというのは、あまりにかわいそうに思います。

 

まとめ

いかがでしょうか、以上の事実を地域枠を検討している受験生は知っておくべきです。

 

募集要項に書いておらず不明な点があれば、「県知事が指定する病院とは具体的にどこか」「内科や外科にしかなれないのか」など大学に問い合わせて確認するのが良いでしょう。

 

経済的な余裕や十分な学力があるならば、一般入試で入学することをオススメします。

そうすれば、卒業後はどこで何科で働こうと自由です。もちろん、自分で希望して離島で勤務することも可能なのです。

 

間違っても、離島や北部出身だからという理由だけで地域枠を受験するという安易な選択は避けるべきだと思います。

 

今回の記事が受験生の参考になれば幸いです。

 

ちなみに、沖縄県に限らない一般的な内容となっていますが、下記のブログがよくまとまっていたので、併せてご覧になってみて下さい。

 

医学部入試『地域枠』制度の現状と問題点を”オーケストラ”で例えてみた ...https://spl-med.xyz/community/

 

 

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