新型コロナウイルス ウイルス変異の可能性

沖縄の勤務医です。

 

沖縄県内でも新型コロナウイルスの感染者が急増しており、先日初めての死亡者も出ました。

4月18日現在、日本国内の感染者数は9,795人、死亡者数は154人となっています。

 

日本において新規患者数はまだまだ増え続けており、峠を超えるのはまだ先になりそうです。

 

当初はWHOもさほど重要視していなかったこの感染症ですが、現在では人類がこれまでに経験したことのないような大災害の様相を呈しています。

 

欧米で感染が拡大してきたあたりから、WHOも「これは思っていた以上にやばいかも」という認識に変わってきたわけですが、どういった背景があるのでしょうか。

今回はこのあたりを考察します。ポイントは「ウイルスの変異」です。

 

 

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RNAウイルスは変異しやすい

ウイルスにはDNAウイルスとRNAウイルスがあります。

簡潔に表現すると、

point

1. DNAウイルス→遺伝子が安定(2本ある)で、変異スピードが遅い

2. RNAウイルス→遺伝子が不安定(1本しかない)で、変異スピードが速い

RNAウイルスは遺伝子が不安定という欠点がある一方で、変異のスピードが早く、ワクチンや抗ウイルス薬に対する耐性を獲得しやすいという特徴があります。

 

皆さんもご存知、インフルエンザウイルスもRNAウイルスで、「新型インフルエンザ」といった強毒型に変化することがたまにあります。

 

そして今回のコロナウイルスもRNAウイルスなのです。

 

欧米では感染力の強い変異したウイルスが広まった

現在ウイルスの遺伝子解析が進んでおり、新型コロナウイルスには大まかに分けてS型とL型の2種類のタイプがあると報告されています。

 

S型は流行当初武漢で流行ったタイプで、L型はS型が変異し欧米で流行したタイプです。

現時点ではL型の方が感染力が強いことが明らかになっていますが、病原性(毒性)が強いかはまだわかっていません。

 

この変異こそが欧米で感染者、死亡者が多い要因となっていると考えられています。

 

日本人はすでにコロナの免疫を持っている?

先日、「日本人の一部はすでに新型コロナウイルスに対する免疫を持っている可能性がある」という内容の論文が京都大学から発表されました。

論文の内容は以下の通りです。

・流行当初、武漢ではS型のウイルスが流行した。

・日本などには中国からS型のウイルスが流入し、一定数が感染した。

・欧米では感染力の強いL型のウイルスがいきなり流行した→だから感染者が多い。

・S型がはじめに流行した地域では、感染者に免疫ができ、L型に対しても部分的に免疫がある可能性がある。

 

これは仮説に過ぎませんが、日本が欧米よりも死亡率が低い理由の説明になるかもしれません。

 

しかし、油断は禁物です。

コロナウイルスが変異しやすいRNAウイルスである以上、これからさらに何段階も変異し、高齢者だけでなく健康な人や小児にも病原性をもつ致死的なウイルスに変異する可能性は十分あります。

 

沖縄は予断を許さない状況

沖縄県内の感染者は4/18日現在、110人となっており全く収束する気配がありません。

 

県内の指定病院では新型コロナウイルス感染患者に対する懸命の対応が続いています。

私の勤務する病院にも複数の患者が入院しており、コロナ流行以前とは環境が一変してしまいました。

 

私は直接患者の診察は行なっていませんが、伝え聞く情報やウイルス変異の可能性を考えたときに、生まれて初めて「死への恐怖」を感じています。

 

現場の状況から判断するに、沖縄では対策がうまくいったとしても50人ほどの死亡者が出るのではないかと思います。

 

自分を守る行動を

繰り返しますが、ウイルスは変異する可能性があります。

「健常者や若い人は大丈夫」というイメージは捨てた方が良いです。

誰もが「自分も死ぬかも」と考えて行動した方が懸命です。

 

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